ニキビは、わが国では約90%の人が経験するといわれていて、今では保険診療に使える薬がいくつかあります。しかし、保険診療では改善しないニキビの場合は、自由診療での治療が必要になります。そこで、今回は、自由診療で使われるイソトレチノインという内服薬についてご紹介します。
ニキビの治療とは?
ニキビは、医学用語では、尋常性痤瘡と呼びます。主に思春期の男女に発症し、顔面、前胸部、上背部などに生じる毛包脂腺系の慢性炎症性疾患で、その原因は、主に、皮脂の分泌の増加、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖の3つです。
皮膚科では、それぞれの患者の症状に合わせて、内服薬や治療薬を処方できます。
今では、日本皮膚科学会による「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」も策定されているので、エビデンスに基づく治療を保険診療の範囲で受けることが可能です。慢性化した場合は、3ヶ月くらいは通院して、ニキビのはじまりである毛穴がつまった状態のコメドを治す、コメド治療を行う必要があります。
先ほどのガイドラインでもコメド治療を続けることが強く推奨されているように、これを行うことでニキビの再発のリスクを小さくすることができます。
しかし、ニキビの患者の中には、ガイドラインに則った治療を行ってもどうしても改善しない方が一定数います。そのような場合、自由診療による治療を行う場合があります。
イソトレチノインとは?
美容皮膚科で受ける自由診療には、ケミカルピーリングやイオン導入などがありますが、難治性のニキビにはイソトレチノインという内服薬で治療を行います。
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の1種で、皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用に優れているため、重症の炎症性ニキビに対して効果を発揮します。
アメリカやカナダなどでは、治療に必要不可欠な基本薬として認知されていますが、日本ではまだ厚生労働省の認可がおりてないため、自由診療となります。
イソトレチノイン療法は、イソトレチノインを1日1回、食後に内服します。個人差はありますが、目安として、1クール最長20週間続けます。治療期間中には、内服前と服用中2ヶ月ごとに血液検査を実施します。
イソトレチノインの重大な副作用としては、流産や胎児の奇形を引き起こすことです。ほかには、唇の乾燥、ドライアイなど粘膜の乾燥や肌の乾燥が見られることがあります。
また、うつ病などで治療中の方、肝臓疾患で治療中の方、妊娠中や授乳中の方などは治療できません。治療中は、ビタミンA含有のサプリメントを摂ることができません。
まとめ
イソトレチノイン療法は、保険診療では治らない難治性ニキビの切り札のような治療です。
効果はありますが、その分副作用もあるので、医師の指導の下で正しく使うことが必要です。難治性のニキビに悩んでいる方は、イソトレチノイン療法について医師に相談してみてください。